退院後の生活【更新2024.10.16】

 退院後も、毎食後+定時のお薬タイムは続きますので、基本的に寝坊や不規則な食事は、したくてもできません。考えようによっては、とても健康的な生活です。

 入院中と異なり、自己管理が第一になるので、慣れるまでは私も周りもかなり神経をつかいました。

 

■退院~1ヶ月

 病院の方針にもよると思いますが、退院後1ヶ月間は、緊急対応できる距離に住まなければなりませんでした。

 私の場合は、病院の近くに部屋(ワンルーム)を借りて、付添いの家族と一緒に住みました。

 一歩外に出れば、こちらの事情を知らない人ばかりなので、恐怖を感じることもありましたが、何気ない風景が輝いて見えるなど、自由になった喜びを最も感じられる時期でもありました。

 

 借りていた部屋は、病院から紹介を受けました。自らも小児がんや移植患者とその家族であったことから設立された、民間の支援団体が運営する『ファミリーハウス』と呼ばれる建物です。

 ごく普通の借上げマンションなので、ナースコールはありませんし、家事全般も自分達でしなければなりませんが、家財道具一式が揃っており、家賃は相場より低く、家族は入院中もここから病院に通うことができました。

 ただし、全国組織ではないので、入院先によっては、自分で普通の民間アパートを探して借りるなどしなければいけないかも知れません。

 

■自宅へ(その後)

 私は、手術から約3ヶ月後に自宅に戻ることができました。

 中には、術後半年で仕事に復帰したり、1年後に山登りに成功した人もいると聞きましたが、大きな手術ですから、きっとなかなか調子の戻らない人もいると思います。

 

 術後半年後の検診では、主治医から軽いデスクワークなら問題ないとのことでした。この頃、私は休職期限が迫っており、職場に復帰するか悩んだのですが、身体を優先して退職しました。生活の不安はありましたが、仕事へのプレッシャーがなくなったぶん、リハビリに集中できたように思います。

 

 術後1年目は、体力は回復していったものの、頻回のげっぷと動悸にかなり悩まされました。また、感染症が気になって、潔癖・対人恐怖気味になっていたこともあり、なるべく人には会わないように過ごしました。飲んでいる薬の影響で車の運転が禁止されていたので、行動範囲も狭かったです。

  

 術後2年目までは、毎晩1~2時間毎に目が覚めたり、週に数回は悪夢で起こされたりしました。記憶力の低下や頭の回転の鈍さを感じることもよくありました。

 しかし、リハビリに頭の体操のようなことを入れたり、少しずつ外出を増やすようにしているうちに、徐々に改善していきました。毎日の薬の量や種類が順調に減ったことが、一番大きかったかも知れません。

 

 術後3年目に入ってからは、睡眠の質も良くなってきて、元気な頃のような意欲も出てきました。一方で、これまでのリハビリ疲れ(飽き?)も出てきた時期でした。

 無理さえしなければ、日常生活に大きな支障を感じることはあまりないのですが、無理をしないというのが、けっこう難しく、常に抑え気味にいなければいけないのが辛くもあります。

 

■術後報告

・3年経過時

 気象病や疲れやすいなどの傾向は続いていますが、体調や気持ちは以前よりも確実に良くなり、悩まされてきた不整脈(突発性頻脈)も改善されてきました。しかし、新型コロナウイルスの流行により、感染予防のためにアルバイト先は自主的に辞めて、自宅中心の生活に戻りました。 

  

・4年経過時

 肺機能はほぼ横ばい、体力はやや落ち気味。気象病と疲れやすい傾向は変わらず。新型コロナの影響で予定以上に自粛生活が長引いている影響か、これまでよりもボーッとしてしまう日が増えました。検診では大きな問題なしですが、腎臓の値が少し悪いのと貧血傾向が続いています。脈拍が安定してきて突発性頻脈が起きなかったことは、良い傾向でした。

 

・5年経過時

 身体機能がこれ以上回復することはないので、維持できれば満点です。また、術後5年の目標にしていた開業を予定しています。生活費の面でも苦しくなってきたので、自粛生活から踏み込んだ生活に切り替えないといけないとは思っているのですが、、、新型コロナの収束を願うばかりです。

 

・6年経過時

 新型コロナ発生以降、外出することが減り、神経を使うことが増えたので心配していましたが、検査結果では肺機能はほぼ維持できていました。体全体としては、コロナ疲れと開業のストレスもあるのか、少し不調が続いています。

 世間的には、withコロナというか、without感染対策のようになってきましたので、自己防衛しつつ世間に合わせていく段階でしょうか。

 

・7年経過時

 現状、自営では生活できないので週3程度のアルバイトに出るようになりました。身体障害者雇用なので応募しましたが、実際の仕事内容は健康な人とほぼ変わりませんでした。体力的にキツいときもありますが、それでも体調面などで気を遣ってくれる分、働きやすいです。また、「働いている」という事実は、精神的にプラスになる気がします。

 体調面は、気象病や腎臓の値がやや良くない傾向などは続いていますが、大きな変化はなく肺機能も落ち着いています。頻脈発作もここ数年起きていません。

 “コロナごもり”の結果、幸いなことに感染せずにいられましたが、筋力や社会とのつながりが弱くなっているのは日々実感しており、基本的な感染対策を続けながら、どれだけリスクを取っていけるか、なかなか悩ましいです。

 

・8年経過時 NEW

 手術から毎年、精密検査を受けてきました。今年も概ね維持できていて安心しました。中でも、アルバイトを続けている効果なのか、6分間歩行の結果が思ったよりも向上していました。感染リスクを避けることは大切ですが、合わせて少しキツいくらいのこともしないと、結局体を衰えさせてしまうことが今回身をもってわかりました。

 とは言っても、ここから更にどれだけリスクをとるべきかは、やはり悩ましいです。障害と合わせて、老いとも付き合っていかなければならない段階に入り、改めて自分の「生き方」について考えなければならなくなる日々です。

 

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・これまで変わらない(変えていない)こと

 【体調面】

 片肺移植の宿命なのかも知れませんが、移植された肺に押されて心臓など臓器の位置が反対側に寄っています。個人差はあると思いますが、その影響からか、胸のつかえや違和感がずっと続いています。

 また、普段から疲れやすく、気圧や気温の変化に弱いです。

 【生活習慣】

 「禁酒」「非喫煙」「菓子類をあまり食べない」「ストレッチ体操」「水分1.2~1.5ℓ/日 摂取(腎臓の負荷を下げるため)」を続けています。